お知らせ

「グローランサ1613火の季の物語」は gooブログに引っ越しました。 タイトルも「ルーンクエスト1613火の季の物語」と 変更。ふつつかながら作者もMAYUMIXXと名前を 変えて再出発です。どうぞよろしく。 アドレスはこちら。http://blog.goo.n…

お知らせ: 近々再開予定です。もう少しお待ちください。

第4章 続き

雨雲はようやく晴れはじめ、月の光が地上にさしこんだ。 「クスコさん!クスコさん!大丈夫ですか?!」 マーカインに肩をつかまれ、クスコははっと我にかえった。ずぶ濡れの髪から しずくがきらりと光ってこぼれ落ちた。 「あ、ああ…。」 「よかった、私も…

(第4章 続き)

背中の激痛にひるんだブルーは、耳障りな悲鳴をあげのけぞった。 瞬間クスコはブルーの下腹部に蹴りをいれ、地面に蹴倒した。そして 心臓めがけて槍を突き立てた。雨にぬれた地面にブルーの血が広がった。 「この野郎!」ざくざくと何度もブルーの腹を槍で刺…

(第4章 続き)

しのつく雨を透かして見た先には、2匹の忌まわしい獣が見えた。 山羊のような頭をもたげ、毛むくじゃらな体をしたそれは 死んだ魚のようなまなこを半分飛び出させている。 もう一匹はなんだか分からない頭がひとつ半ついている。よく見ると かたつむりのよ…

(第4章 続き)

天にこもった熱気が、逆巻く大風に耐え切れずひとつぶのしずくをこぼした。 そのしずくがみずからの分身を生み、やがて空の青から舞い落ちるとき、 地上にうごめくものたちは物影をもとめ、しばしの間身を縮める。 ここ、街道わきに生い立つ柏の木々の枝かげ…

第4章

宿屋の朝はあわただしい。 いそいで宿賃を払って旅立つもの、朝食のスープの味に文句をつけるもの、 井戸ばたは顔をこするだけの者から全身水浴びする者で混み合っている。 そんな中、男たちの視線に晒されながらクスコは髪を洗っていた。無遠慮な 視線には…

第3章 続き)

クスコはふと目を覚ました。消えかかった何本かのろうそくの明かりのもとで、 マーカインは石版の上につっぷし眠りこんでいる。ふうっと残火を吹き消すと クスコはつぶやいた。「あたし、真っ暗じゃないと眠れないのよね」 そのとき遠くからどっと笑い声が響…

(第3章 続き)

窓辺に卓を寄せて、マーカインはパイ屋のかみさんから奪った石版をいつまでも 見つめていた。夏の夕暮れの光もそろそろ淡くなってくるころだ。 「マーカイン、それが何かしたの?」クスコがあくびをしながら尋ねた。 「村の女房がそんなに珍しい物を持ってい…

(第3章 続き)

太陽が高くさし昇り、市の人出もいちだんと賑やかになってきたころ、 ガーハウンド村にもう一台、新しい馬車がやってきた。その馬車は村の中ほどの アーナールダの小さな寺院の前で止まった。たちまち荷台から匂やかな女たちが わらわらと降りてきて、手際よ…

(第3章 続き)

太陽が高くさし昇り、市の人出もいちだんと賑やかになってきたころ、 ガーハウンド村にもう一台、新しい馬車がやってきた。その馬車は村の中ほどの アーナールダの小さな寺院の前で止まった。たちまち荷台から匂やかな女たちが わらわらと降りてきて、手際よ…

(第3章 続き)

「クスコ、いいかげんに手を離せよ!嵐の戦士が女とお手手つないで 歩けるかってんだ!」 ナディスは自分の手首をつかむクスコの力が強いのに驚きつつ 手をふりほどいた。 「こんな小せえ体のどっからこんな馬鹿力が出るんだ?ったくよう。」 「野蛮人を野放…

(第3章 続き)

「はいはい、おまたせしました、朝食ですよ〜。」 宿のおかみさんがフライパンを打ち鳴らして客をたたき起こして回っていた。 クスコは教練場仕込みの早業で食事をたいらげると、さっそく市を見物に 出かけた。「んじゃ、広場で会いましょ、博士。」 「はあ…

第3章

西の空の茜色の光もようやく燃えるような輝きを静め、夕闇が優しい紫の ヴェールを広げようとするころ、4人の旅人はガーハウンド村に到着した。 「ああ、明るいうちに着いてよかった。さっそく番所だな!」 ケインは馬の背から木箱を降ろし、肩に担いだ。木…

第2章 続き)

「結局今日も真昼間から行進か、けっ、ご苦労さんなこった」 砂まじりの風にナディスのぼやきが浮かんで消えた。 博士とゆかいな戦士たちは乾いた街道をガーハウンド村へと進んでいた。 賞金をもらうための証拠の塩と灰をまぶした盗賊の首5個と、 彼らの持…

第2章 続き:

夜営の夜はおだやかに過ぎていった。兵士たちのしゃべり声、装備を点検する 物音、そのあいまを縫って誰が吹くのか低い口笛がながれる。おそらく 彼の郷里の古い歌ででもあろうか。ファーレンはそんな光景をなんとはなしに 眺めながら村の中を歩いていた。 …

4人の旅人はガーハウンド村まで行くことになった。 なぜならこの小さな村には番所などなく、盗賊を狩った賞金を 受け取るにはガーハウンドの自警団まで申請しなければ ならないのだ。 4人は無料の宿賃と、ちょっといい夕食だけで十分だったが、 朴訥で正直…

第2章

へっ、今夜はいい晩だぜ。夜風は涼しく、空にゃお星様がいっぱい、 俺様の手の中のコップの中にゃあ酒がいっぱいときたもんだ。これで 柔らかい寝床まで待ってるんだからよ、もうごきげんよ。 あの盗っ人をふん縛ってこのしけた村に入ったときゃ、村の連中 …

(第1章 続き)

剣士のまなざしの先には、砂まじりの風の中に横倒しになった馬車が すでに燃え尽きようとしていた。路上のあちこちで燃えさしの破片から 小さな炎がゆらめいて、散乱した荷箱や人の死骸をあぶり出している。 鞍をつけた馬が1頭、静かに立っていた。そのそば…

(第1章続き)

火の季、それは二柱の神々が覇権を争う季節だ。 太陽神イェルムはその身を白熱するほどに燃え上がらせ、 大地を焼け焦がす。負けじと嵐の神オーランスは 乾いた大地に荒れ狂い、砂煙を巻き起こし太陽の姿を 隠さんばかりに空気を黄色く濁す。 地上を這い回る…

(第1章続き)

ルナー帝国領ボールドホーム駐留軍の百騎長、 通称「シルバームーン」のファーレンは大きな喜びに胸躍らせながら 指令本部から退出した。彼にとって、かつてない重要な任務が 下されたのだ。 この任務の成否の如何は全て自分にかかっている。部下をいかよう…

 第1部

*第1章 闇だ。底知れぬ闇の奥で、ただひとつわびしい灯りがゆらめいている。 ほの暗い光をちらちらと照り返すのは、奇妙にからみあう2つの裸身。 闘争する獣を思わせる荒々しい呼吸、血で濡れた口、そして牙。 青白くなまめく死者の膚を湿らせる冷たい汗。 …

*プロローグ 戦さ世の不穏な空気うずまく地上に、奇妙な者どもが蠢いている。 それぞれが胸に思惑と打算を抱いて、時には謂集しまた散りぢりと なって死に急ぐ様は、まるで泥土の上を這い回る蟻のようであろう。 自らも預かり知らぬ運命の糸が、乱れからま…

 はじめに:

これから書く物語は、テーブルロールプレイングゲーム 「ルーンクエスト」の『仮想リプレイ』とでもいいましょうか。 いまからもう10年以上前、もう名前も忘れてしまいましたが、 あるグループに参加して生まれて初めて「ルーンクエスト」 をプレイしまし…